水稲新品種「つや姫」(山形97号)の育成
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
「つや姫」(系統名:山形97号)は、1998年に山形県立農業試験場庄内支場(現:山形県農業総合研究センター水田農業試験場)において、次期主力品種の育成を育種目標に、「山形70号」を母に、「東北164号」を父にして人工交配を行い、選抜・育成した良食味の品種である。本品種は本県で育成された粳種では初の"晩生"に属し、短稈で草型は"中間型"、耐倒伏性は"やや強"である。いもち病真性抵抗性遺伝子型は"Pii、Pik"をもつと推定され、圃場抵抗性は葉いもち"強"、穂いもちは発病が少なく不明である。障害型耐冷性は"中"、穂発芽性も"中"である。「コシヒカリ」に比較し、収量性が高く、玄米千粒重は並で、玄米外観品質は白未熟粒の発生が少なく、光沢があり高品質である。「コシヒカリ」に比べ精米粗タンパク質含有率は並、精米アミロース含有率はやや低く、味度及び炊飯米の白色度はやや高い。食味は、炊飯米の外観と光沢が優れ、味と粘りも優り、「はえぬき」及び「コシヒカリ」を上回る。山形県における適応地帯は平坦部で、本県のさらなる良食味米の安定生産と「米どころ山形」として本県産米全体の評価向上を目指し、2009年に山形県の水稲奨励品種に採用された。さらに、同年9月には宮城県の奨励品種に採用された。
- 2010-03-00
著者
関連論文
- 低アミロース品種「里のゆき」後代系統のアミロース特性(II 論文編)
- 分光測色計による切り餅および炊飯米の白さの評価法
- 水稲新品種「山形糯87号」の食味および加工適性
- 玄米の部分着色粒と割れ籾発生の品種系統間差異
- 低アミロース米新品種「山形84号」の食味特性
- 水稲糯新品種「こゆきもち」(山形糯87号)の育成
- 低アミロース米新品種「ゆきの舞」(山形84号)の育成
- 水稲糯品種系統の粒大と餅加工適性
- 酒造好適米新品種「山形酒86号」の特性
- 水稲糯品種の糊化特性と餅硬化特性
- 低アミロース系統「山形84号」のアミロース含量特性
- イネ葯培養における正逆交雑F_1系統の再分化能力の比較
- イネ葯培養による再分化次代系統の特性
- 米の食味と理化学特性に関する育種的研究 : 第2報 精米の理化学特性による食味選抜
- 米の食味と理化学特性に関する育種的研究 : 第1報 食味特性の評価と品種間差異
- 出穂後の少照条件下における登熟, 収量および品質の品種間差異
- 水稲の良食味系統の選抜効率化
- イネの冬期間の葯培養による育種年限の短縮
- 「はえぬき」の外観品質に及ぼす登熟温度の影響(収集雑穀の特性調査)
- 水稲直播における低温出芽・苗立ち性検定基準品種の選定
- 水稲湛水直播栽培における食味理化学特性の評価
- 水稲新品種「つや姫」(山形97号)の育成
- 水稲新品種「山形100号」の育成
- 水稲新品種「山形95号」の育成