数学教育における表現活動に関する一考察
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
平成20年と21年に告示された小・中・高等学校の新しい学習指導要領では,言語活動の充実が謳われている。それに伴い,算数・数学科を対象にした数学教育に関する論考の中で,「表現活動」ということばを目にするようになったが,その意味は明確なものではない。そこで,本稿は,数学教育における表現活動の意味を検討することを目的とした。その結果,主として次のことを指摘した。(1)数学教育における表現には対象としての表現と方法としての表現がある。それらは主として視覚的な表現であり,聴覚的な表現は前者には含まれないが後者には含まれる。(2)表現活動には「表現する」行為と「解釈する」行為が含まれ,後者には思考や判断,よさ・美しさの感得も含まれる。(3)表現活動の過程には,一つの表現様式に対する構成,操作,解釈のサイクルから成る局所的な表現活動と,複数の表現様式に渡る連続的な意味の発展過程である大局的な表現活動とがある。(4)説明する活動では,対象としての表現を明示しながら方法としての表現を用いることが必要であり,説明をする者だけでなく説明を受ける者に対する指導も重要である。
- 鹿児島大学の論文
- 2013-03-12
著者
関連論文
- 表現からみた数学的活動(新教育課程に向けて(IX))
- 算数学習における理解過程に関する研究(III) : 第5学年における「台形の面積の求め方」を中心に
- 見通しの段階における手立てについて
- 算数学習における理解過程に関する研究(II) : 第2学年における三角形と四角形の概念を中心に
- I-5-4.比較検討の手順を中心に(I-5 技術指導,第I部 問題解決の指導理論,授業研究のための日本の算数・数学教育理論)
- 図的表現の認識に関する記号論的考察 : 小数の乗法における数直線を事例として
- I-5-4.比較検討の手順を中心に(I-5 技術指導,第I部 問題解決の指導理論,授業研究のための日本の算数・数学教育理論)
- B4 図的表現を用いた小数乗法の授業に関する研究(B.【問題解決1(問題解決,指導法等)】,論文発表の部)
- 数学教育におけるアブダクションの基礎的研究 : 形式の観点からの検討
- 数学教育におけるPeirceの記号論の基礎的研究 : 表現体系との比較考察をとおして
- o6 探究的な算数・数学の授業について(o.【その他】,口頭発表の部)
- 帰納的推論と類比的推論を活かした算数の教授・学習に関する研究
- 算数授業における帰納と類推の活用 (研究紹介)
- 算数・数学教育におけるPeirceの記号論の検討
- 帰納的推論と類比的推論を活かした算数の教授・学習に関する研究 : 小学校3,4,5年生へのインタビュー調査を通して
- O7 帰納的推論と類比的推論を活かした算数の教授・学習に関する研究 : 小学校第4学年「面積」の実践的検討(O.【その他】,論文発表の部)
- 帰納的推論と類比的推論を活かした算数の教授・学習方法の考察
- J23 帰納的推論と類比的推論を活かした算数の教授・学習に関する基礎的考察(J 学習・認知・理解,論文発表の部)
- 算数・数学教育における帰納的推論と類比的推論の調査研究--質問紙調査による小学校3,4,5年生の推論の様相について
- J5 算数・数学教育における類比的推論の基礎的考察 : 写像過程について(J 学習・認知・理解,口頭発表の部)
- 算数・数学教育における類比的推論の基礎的考察(1)類比的推論の捉え方について
- 算数・数学教育における類比的推論の基礎的考察(2)創造性に関わる機能について
- J23 数学的推論に関する基礎的考察(2) : 数学教育におけるアブダクションの役割(J 学習・認知・理解,論文発表+ポスター発表の部)
- 算数・数学教育におけるアブダクションについての考察
- 算数学習における理解過程に関する研究(I) : 数学理解の2軸過程モデルの理論的再検討
- M5 図式的推論を生かした数学の学習過程に関する研究 : 中学3年「因数分解」の授業分析を通して(M【その他】,論文発表の部)
- E3 論証への接続を目指した算数の図形指導に関する研究(1) : 図形の包含関係の理解を促す動的な見方の具体化(E【図形・幾何,測定】,論文発表の部)
- 図形学習における動的な見方の具体化 : イメージ図式の視点をもとにして
- 帰納的推論と類比的推論を活かした算数の教授・学習に関する研究 : 小学校第5学年「小数の除法」の実践的検討
- 算数・数学教育における類比的推論の調査研究 : 小学校3,4,5年生へのインタビュー調査を通して
- 小数の乗法の意味に関する記号論的考察
- 数学教育における表現活動に関する一考察
- 分数の乗法・除法に関する代数的推論の機能に関する研究