企業倫理活動の類型の検討 : コンプライアンス型と価値共有型
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概要
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本稿は企業倫理活動の代表的な類型である「コンプライアンス型」と「価値共有型」について,現在までに明らかになっている知見を整理し,企業倫理活動に関する研究課題を明らかにすることを目的としている。企業倫理活動とは,「従業員が社会的な規範から逸脱した行動をとらないことを目的とした制度構築と実践」を指し,具体的には,行動規範の制定,専門部署・ヘルプラインの設置,教育研修の実施などがあげられる。この企業倫理活動に関しては,Paine(1994)によって,コンプライアンス型と価値共有型という類型が提示され,企業倫理研究ならびに企業倫理の実践において重要な鍵概念になっている。そこで,本稿では,両類型を分析枠組に組み込んだ実証研究の検討を行い,両者の関係には,対立関係,独立関係,包含関係という3つの可能性が存在することを明らかにした。また,両類型に関連する研究課題として,①企業倫理活動以外の要因への注目,②コンプライアンス型から価値共有型への移行の検討,を指摘した。さらに,企業倫理活動の新たな類型を探求する際の研究課題として,①組織理論にもとづき演繹的に導出された類型の提示,②類型間の関係の並列性,を指摘した。
- 2013-06-11
著者
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