水稲の収量・品質予測手法としてのサポートベクターマシーンの評価
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概要
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We evaluated the support vector machine (SVM), a supervised learning method used for pattern recognition, as a fundamental analysis method for building prediction models of rice yield and quality. First, prediction models of patterns regarding the yield and protein content of brown rice were built using a directed acyclic graph SVM (DAGSVM), which is a multiclass classifier. These models predict patterns of yield and protein content on the basis of seven variables, including the state of rice plant after heading (nitrogen nutrition and yield capacity) and meteorological environment (air temperature and solar radiation) after the late spikelet initiation stage (i.e., 14 days before heading). Data used for building the models were obtained from surveys of 47 paddy fields conducted in 2009 in the village of Hoshino, in 2009 and 2010 at the experimental farm of Kyushu University, and in 2010 in the cities of Itoshima and Fukuoka. The Hinohikari cultivar was grown in all the surveyed fields. Next, the validity of the SVM as an analytical method for building prediction models was evaluated in terms of the classification rate and an adjustment function of generalization. The classification rates of yield and protein content were found to be relatively high, i.e., 85.1% and 76.6%, respectively. Further, it was confirmed that an adjustment function of generalization with soft margin was effective in training the data that were not linearly separated. The results indicated that SVM, with high accuracy and high generalization performance, is an effective method for building prediction models of rice yield and quality that are affected by various factors.水稲の収量・品質予測モデルを作成する際の基盤解析手法として, 学習型パターン認識手法であるサポートベクターマシン(以下, SVM)の評価を行った. まず, Directed Acyclic Graph(以下, DAG)により多クラス判別を可能にしたDAGSVMを用いて, 精玄米収量(以下, 収量)および玄米タンパク質含有率(以下, タンパク)のパターン予測モデルを作成した. 今回作成したモデルは, 出穂期以降の稲体の状態量(窒素栄養, 収量キャパシティ)および頴花分化終期(出穂14日前)以降の気象環境(気温, 日射)の7変数から収量およびタンパクのパターンを予測するものである. モデル作成に使用したデータは, 福岡県八女市星野村(2009年), 九州大学農学部附属農場(2009年, 2010年), 糸島市・福岡市(2010年, 2011年)において実施した延べ47枚の水田調査(品種ヒノヒカリ)により得られたものである. さらに, SVM の予測モデル作成手法としての有効性を, 判別率およびソフトマージンによる汎化能力の調整機能の面から検討した. その結果, 収量およびタンパクの判別率は, それぞれ, 85.1%, 76.6%と比較的良好であった. また, 線形分離されない学習データに対して, ソフトマージンによる汎化能力の調整が有効に機能したことを確認した. 以上の結果から, 多数の因子の影響を受ける水稲の収量・品質の予測モデル作成において, SVM は精度と汎化能力を保証し得る有効な手法であることが示唆された.
- 2012-09-20
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