ラット脳カルシウムATPase活性の静脈麻酔薬による抑制
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概要
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全身麻酔薬の作用を受ける機能性タンパク質としてGABA受容体,アセチルコリン受容体などの報告があるが,これらに対する作用のみで全身麻酔作用のすべてを説明することはできないと考えられている.本研究はラット脳に存在するカルシウム(Ca)で活性化されるATPaseが,静脈麻酔薬の直接の作用点となり得るかを検討することを目的に行なった.ラット脳のホモジェネートから調整した膜分画(PⅠ)及び,Pottorfの方法に従って調整した形質膜(PⅡ)及びミクロソーム(PⅢ)分画のCaで活性化されるATPaseに対するpropofol,pentobarbitalとthiopentalの作用を調べた.PⅠにはCaの濃度に依存して活性化されるATPaseが存在し1mM以上のCaでほぼ飽和した(Ca-ATPase活性).PⅠのCa-ATPase活性はpropofol濃度に依存して抑制され50%阻害濃度(Ki0.5)は0.25 mMであった.Propofol存在下でCa-ATPase活性のCa濃度依存性を調べると,存在するpropofol濃度に依存して最大活性とCaに対するKmは低下した.PⅡ及びPⅢには,ウェスタンブロッティング及び酵素学的性質からCa,Mg-ATPaseであるPMCA(plasma membrane Ca-ATPase)及びSERCA(sarcoendoplasmic reticulum Ca-ATPase)の存在が明らかになった.PⅡ 及びPⅢ のCa,Mg-ATPase活性はいずれも類似した濃度依存性でpropofol,pentobarbitalとthiopentalによって阻害され,そのKi0.5はそれぞれ0.35,3及び1.5 mMであった.本研究で調べたCa-ATPase及びCa,Mg-ATPase活性のpropofol,pentobarbitalとthiopentalによる活性阻害濃度は,同じ生体膜に存在する酵素であるNa,K-ATPase活性の阻害濃度と類似していた.以上の結果から,ラット脳に存在するCaで活性化されるATPase活性の静脈麻酔薬による阻害は特異的なものではなく,麻酔薬の生体膜を構成する脂質とタンパク質にに対する作用の結果として,ATPaseタンパク質の機能が影響を受け抑制されたものと推測した.
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