泊鉈製作の作業場ならびに道具に関する調査
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
富山県で泊鉈を製作している大久保中秋氏(刃物・農土具製作所、昭和5 年生まれ)の作業場環境ならびに製作道具を調査し、その詳細を記録した。この調査によって、一般に鍛冶師が行う熱処理時の事例とは異なって、鍛造エリアが明るいこと、また製作道具が泊鉈製作に特化したものではなく、特別な冶具なども無いことが確認できた。このような状況の下、大久保氏が重要視していると考えられる鍛造エリアの明るさと熱処理方法の関係、ならびに製作道具の調査から野鍛冶の道具と製作技術について考察した。その結果、鍛造エリアの明るさは焼入れと焼戻しを同時に行う上で必要な環境であり、焼戻しにおける酸化色の移動状況を見極めるためであることが推察できた。また、大久保氏をはじめとする野鍛冶は、特定の製品に適応させた道具や冶具を作らず、臨機応変に駆使できる経験則的な技術を築き上げて個々の製品に対応し、製作していることが分かった。
著者
関連論文
- 湯床吹き技法による金属工芸作品制作研究(1) : 湯床吹き工程について
- 北陸における鉈製作について
- 海野勝〓彫金作品の調査報告 : 「蘭陵王置物」「太平楽置物」に関する制作技法の調査記録
- 明治期の彫金家海野勝〓の作品研究 : 「蘭陵王置物」「太平楽置物」について
- 新富山大学芸術文化学部創設記念「工芸都市高岡伝統と革新」展(特別企画:芸術文化学部創設への取り組み)
- 道具が作られる過程
- 伝統的鍛冶による種子鋏製作技術の調査と材料学的考察(研究・制作発表)
- 付け鋼技法で製作される博多鋏の調査 : 作業場と道具(研究・制作発表)
- 泊鉈の製作工程ならびに経験則的鍛冶技術の調査
- 泊鉈製作の作業場ならびに道具に関する調査
- 指導補助者として学生に指導経験をさせる可能性と課題
- 付け鋼技報による博多鋏の製作工程とその特徴についての考察
- 鹿児島県・種子島における種子鋏製造の伝統的技法に関する調査研究 : 鍛冶製品製造産業の発達とその社会的背景の予備調査
- 伝統的技法による種子鋏製造の技術保持者に対する聞き取り調査とそれに関わる周辺調査報告
- 伝統的鍛冶技法による種子鋏の製作工程について
- 鹿児島県・種子鋏の製作に使用される道具とその形態について
- 多様な被削材に適応した鑢目の形態とその切削効果について
- 手打ち鑢における熱処理について
- 鑢の目切りについて : 目切り工程と鑢目の形態に関する考察
- 手打ち鑢(やすり)の製法と背景についての調査
- ラハティ・ポリテクニックを訪問して
- DC反応スパッタ法によるTiN薄膜の作製とその色彩特性
- 中・高美術教科書で注目される題材 -芸術文化学部授業科目と美術教科書題材の比較を通して-
- 泊鉈の熱処理工程と金属組織 -経験則的鍛冶技術の調査-