サギソウ(Habenaria radiata)から検出された新ひも状ウイルス,Habenaria Mosaic Potyvirus
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概要
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1974年7月、市販されていたサギソウの葉に明瞭なモザイクを現わし、葉がややよじれ症状を呈した病原ウイルスを調べたところ、Potyvirusが検出された。本ウイルスは13科40種に汁液接種したところ、サギソウに全身感染し、C.amaranmnticolor、C.quinoa、ホウレンソウ、ツルナ、センニチコウの3科5種の植物に局部感染が認められた。本ウイルスはまたモモアカアブラムシ(Myzus persicae)によって非永続的に伝搬された。ウイルス粒子は長さ約750nm、幅約13nmのひも状であった。病葉粗液汁中の不活化限界は耐希釈性が10-5~10-6、耐熱性が60~65℃(10分)、耐希釈性が8~16日(20℃)であった。純化ウイルスを家兎に注射して免疫し、力価512倍(微滴凝集反応法)の抗血清が得られた。本ウイルスおよびCIYVVに対する抗血清を用い、ELISA法により本ウイルス株、BYMV、CalMMV、DeMV、TuMV、WMV-2との血清反応試験、さらに本ウイルス、AlMV、BYMV、ClYVV、DeMV、FMV、PVY、TuMVとそれらのウイルスに対する抗血清との相互血清反応を免疫電顕法によって調べたところ、本ウイルスは血清学的に他の供試potyvirusとは異なるウイルスであることが認められた。電顕により観察したサギソウやC.quinoaなどの病葉組織の超薄切片像には細胞質内に風車状、車輪状、管状および層板状などの封入体の形成が認められた。また病葉からのPTA染色によるDN法試料には封入体の層板状の破片が認められ、それらの面には線間隔約5.2nmの平行微細構造が観察された。本ウイルスをhabenaria mosaic virus(HaMV)と命名し、和名をサギソウモザイクウイルス、サギソウの病名をモザイク病とした。HaMVは1991年5月にも同様葉にモザイクを生じた市販のサギソウからも検出された。A potyvirus, isolated from Habenaria radiaata showing severe mosaic in the leaves named habenaria mosaic virus(HaMV). HaMV was transmitted by inoculation of sap to 6 of 41 species from 4 of 12 families. Systemic infection was cauded in Habenaria radiata, and local infection was produced in Chenopodium amaranticolor, C. quinoa, Spinacia olracea, Tetragonia expansa and Gomphrena globosa. HaMV was also transmitted by Myzus persicae in a non persistent manner, but not by Aphis gossypii. The virus has filamentous particles of c. 750×13nm. Sap from inoculated C. quinoa was infective after dilution to 10-5 but not 10-6, after 10 min at 60℃ but 65℃, or after 8-16 days at 20℃.In ultrathin sections of diseased leaves of Habenaria radiata and inoculated C. quinoa, virus particles were found to disperse in the cytoplasm. Cylindrical inclusions were present in the cytoplasm of infected cells, as pinwheels, scrolls or tubes. The inclusions observed in negatively stained crude sap preparations exhibited fine linear striation at about 5.2 nm intervals.The antiserum to HaMV produced by immunizing a rabbit had a titer of 1/512(precipitin test). HaMV showed distant serological relationships to potyvirus;alstroemeria mosaic virus, bean yellow mosaic virus, calanthe mild mosaic virus, clover yellow vein virus, dendrobium mosaic virus, freesia mosaic virus, turnip mosaic virus and watermelon mosaic virus 2.
著者
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