大学演習林と小学校の連携による総合学習の実践 -児童と学生が共に学ぶ森林環境教育プログラムの効果-
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概要
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The forest environmental education programs encompassing outdoors experiences utilizing periods of integrated studyhave been carried out in the Kagoshima University Forest with the cooperation of a local primary school since fiscal year2000. This thesis introduces the contents and details of the forest environmental education programs carried out forTarumizu primary school in Tarumizu city; it also considers the effects on the primary school children and university studentsparticipating in the programs.Improvements in the Tarumizu primary school program are made every year. The aspirations and improvements of the program are made through consultation with teachers of the school. Each year,the aims of the integrated study programs are refined along with adetermination to improve leadership skills through prior training. In addition,the resultantchanges made from the outcomes of a trial and error approach over the years has lead to the recognition that these programsare held in high esteem for their positive effects on education.The “Exploration of the Head of the River" program is carried out in the first term. The “Exploration of the Forest" programis carried out in the second term by three classes of fifth graders. In the former program,the participants learnabout the hydrologic cycle and the natural world in a mountain stream through the activity of climbing through the stream.In the latter program,through carrying out activities in the forest,the participants learn about the connection between living things and the role of the forest. The execution of the programs took the form of each of the there classes of pupilsholding one class per day during a period of six days in total in May and October. Each class was divided into six groups;each group was assigned a leader. The leaders of the groups were taken from members of staff of the University Forestand from students of Kagoshima University.The independent activities of each group are of paramount importance; therefore,the leadership of each group leaderis necessary. In this program,the leaders and children can learn effectively at the same time. The effect of the experientiallearning on the participants in the program when repeated for three days was markedly substantial. Development inthe form of new education programs in forest science is expected. Furthermore,academic education will be enhanced through the environmental education leader training program.鹿児島大学演習林では2000年度より地元の小学校と連携して,総合学習の時間を使った野外体験型の森林教室を実施している。本稿では,垂水市の垂水小学校を対象に実施している森林教室について,その経緯とプログラム内容を紹介し,児童と学生の双方に有効な教育効果について考察している。垂水小学校の森林教室は4年目の2003年度から現在のプログラムの形ができた。総合学習全体のテーマやその中での森林教室の位置づけとねらいを学校側とすり合わせること,ねらいに沿ったプログラムを作成すること,指導者の事前研修によりスキルアップを図ること,などの改善と毎年の試行錯誤の中から,教育効果の高いプログラムとなっている。5年生3クラスを対象に1学期は「川の源流たんけん」,2学期は「森のたんけんたい」という2つのテーマで実施している。前者は沢登り活動を通じて水の循環や川の自然を体験的に学び,後者は森でのさまざまな活動の中から生きもののつながりや森林の働きを学ぶプログラムである。5月と10月に1日1クラスずつ3クラスで計6日開実施している。クラスを6班に分け,斑に1人ずつ指導者がつく。指導には演習林教職員と学生(おもに森林系の学部生と院生)があたっている。このプログラムは班単位で独立した活動が大部分であり,班の指導者の力量が必要である。参加者である子どもたちが学ぶことと同時に,指導者が効果的に学ぶことが可能であり,特に3日間の繰り返し実施による体験学習法の効果が大きい。大学教育の面からは,森林科学分野の新たな教育プログラムとして,さらに全学的な環境教育指導者育成プログラムとしての発展が期待される。
- 2007-12-01
著者
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