個人の持つ原風景の形成プロセスと環境教育活動が及ぼす影響
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概要
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Environmental education activities have been carried out in the Kagoshima University Forest since 1999. The target of environmental education is that participants can voluntarily judge environmental problems, and become able to act on them. However, there is individual variation in the educative effect because the sense of values concerning the environment is different depending on the individual. In the present study, the "primal scene" was taken up as a formation factor of the sense of values concerning the environment. A survey of 89 people, including university students, was carried out, and the formation process and the influence of the individual's primal scene were examined. From the results of the survey, it was clarified that the primal scene that formed the sense of values concerning environment is related to pro-environment behavior. An environmental education program to contribute to the formation of the primal scene was examined. Significant results were as follows: (1) The primal scene of a person who grew up in a rich natural environment is mostly everyday space. (2) The formation time of the primal scene occurs mainly in two periods: at elementary school age and during university. (3) At elementary school age everyday space becomes the primal scene and non-everyday space during university. (4) Primal scene influences the personality forming and career path of 57% of people.鹿児島大学高隈演習林では1999年より森林環境教育活動を実施している。環境教育では,環境問題に対して主体的に判断し,行動できるようになることが最終目標とされているが,個人によって環境価値観が異なるため,教育効果には個人差が生じる。そこで本研究では,環境価値観の形成要因として「原風景」に着目し,大学生等89人を対象に原風景画の作成と聞き取り調査を行い,個人の持つ原風景の形成プロセスとその影響を調べた。調査結果から,環境に配慮した行動に結びつく環境価値観を形成する原風景を明らかにし,そのような原風景の形成に寄与するための環境教育プログラムのあり方を検討した。得られた成果は以下の通りである。(1)生まれ育った自然が「豊か」な人ほど日常空間(遊び場,通学路,自宅周辺など)を原風景とした人が多かった。(2)原風景には主に小学校時代と大学時代の2つの形成時期がみられた。(3)小学校時代は日常空間が,大学時代は非日常空間(旅行先など)が原風景となりやすいことがわかった。(4)57%の人が人格形成や進路などに原風景が影響していた。
- 2010-03-01
著者
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