腎盂尿管腫瘍の臨床と病理
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概要
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1969年2月より14年間に市立小樽病院泌尿器科で手術をおこない,病理組織学的に検索をおこなった原発性腎盂尿管腫瘍25例につき予後調査をおこなった.1) 25例の平均年齢は66歳,男女比は18:7であった.患側は左12,右11,両側1(非同時性尿管腫瘍)である.2)症状は血尿が69%ともっとも多く,初発症状から1ヵ月以内に受診したものは約半数であった.3)腫瘍の部位としては,腎盂腫瘍9例,尿管腫瘍14例,腎盂および尿管腫瘍2例であり,初診時膀胱腫瘍の合併は6例にみられた.4)全例移行上皮癌からなり,腫瘍のgradeとstageに関連性がみられた.5)手術法としては腎尿管全剔術がもっとも多く19例であった.腎保存的手術は非同時性両側尿管腫瘍の1例のみにおこない,術後6年の現在再発なく健在である.6)手術時,腎盂,尿管全長にわたる腫瘍をみたもの1例,尿管全長におよぶ腫瘍は2例であり,1例は1年内に死亡した.続発性の膀胱腫瘍を3例,後部尿道腫瘍を1例にみたが,全例健在である.7)実測5年生存率は51%であった.gradeおよびstageは予後に影響をおよぼす因子としてもっとも重要とみられたThis report is on 25 patients with primary urothelial tumor in the upper urinary tract who were admitted to our hospital from February, 1969 through January, 1983. The patients were 18 males and 7 females with a mean age of 66 years. The affected side was the right side in 11 cases, the left side in 12 and bilateral in 1 case (bilateral asynchronous ureteral tumor). The major symptoms were hematuria (69%) and flank pain (25%), with rare signs of fever. Total nephroureterectomy with bladder cuff was employed as the surgical method in 19 out of 25 cases. We performed conservative surgery in the case of non-infiltrating bilateral ureteral tumor. Pathologically, all 25 patients had transitional cell carcinoma. Over-all survival rate at 3 and 5 years was 64% and 51%, respectively. Our findings coincided with earlier reports by others that the prognosis of primary tumors in the upper urinary tract is related to the grade and stage of the tumor.
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