ツシマヤマネコ保護に関する住民意識 : 対馬市全域住民を対象にしたアンケート調査から
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概要
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ツシマヤマネコは,長崎県対馬市にのみ生息し,野生復帰の将来的な実施が検討されている。ツシマヤマネコ及び野生復帰計画を含めツシマヤマネコの保護を住民がどのように捉えているのか,本研究ではその住民意識を探る。本研究は検討段階を対象としており,野生復帰直前・直後を対象としていた先行研究に対して新規性がある。方法は,長崎県対馬市全域住民のうちの20歳以上79歳以下の男女1000人を対象とし,住民基本台帳使用による無作為抽出郵送方式を採用,回収率は48.8%であった。住民によるツシマヤマネコの捉え方は,「対馬にだけ生息する生き物」「対馬を象徴するもの」として,その固有性が評価された。検討されている野生復帰に関しては,実施場所としては検討されている下島が適当とする回答は少なかったが,野生復帰そのものに関しては全体として肯定的に捉えられていた。ツシマヤマネコは,ほとんど目撃されない存在でありながら,主に交通事故対策を中心とした保護活動の展開や新聞テレビ報道によって,「対馬にのみ生息する」や「絶滅のおそれがある」という認識は普及していることが背景にあると考えられる。ただし,生活とは遠い存在であるがゆえに利害関係が想像されにくく,保護活動が肯定的に受け入れられているとも考えられる。Tsushima leopard cats, which live only in Tsushima Islands, are planned to be released into the wild in the future. This paper discusses people’s ideas about the cat and its conservation including the future-release project. Furthermore, this paper compensates for the lack of the past research as people’s perceptions of the release have not been investigated in the planning phase. We targeted by mail 1,000 residents in Tsushima City, Nagasaki Pref. in the age range 20 to 79. The randomsample was taken from the Basic Registry of Residents. The response rate was 48.8%. They felt “the cat is living only here” or “it is a symbol of this area”. Their evaluation was “the cat is native”, and the release itself was generally appreciated. However, they did not agree with the release being just in Shimo-Jima, where it is planned to be carried out. Although they did not always actually see the cat, from TV and Newspapers, or the Conservation Activities mainly for traffic accidents, they may know well that it lives only in Tsushima Island and now is becoming extinct. Furthermore, because they often do not see the cat in the wild, they also may not be able to perceive the advantages and disadvantages in relation to the cat. This may cause them to care for Tsushima leopard cat.
- 2010-03-25
著者
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