自宅で生活する高齢者の転倒の実態と住環境との関連
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概要
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自宅で生活をする高齢者の転倒の実態を自宅の住環境との関連から検討することを目的に,老人教養講座を受講する65歳以上の高齢者300名に無記名自記式調査を実施した。有効回答数は262名 (87.3%) で,男性55名,女性207名であった。過去1年間の転倒率は男性7.3% (4名),女性23.7% (49名) で,女性の転倒率が有意に高かった (p<0.01)。自宅内転倒による外傷は,男性1名は打撲,女性は擦過傷,捻挫,骨折等であった。転倒理由は「段差でのつまずき」「物につまずく」「物に滑る」などであった。転倒群は非転倒群よりも,「段差でつまずきそうになる」,「段差でバランスをくずす」などの9項目に該当する者が有意に多かった (p<0.05)。これらの結果から,転倒予防には,高齢者の属性はもちろんのこと,個々の高齢者の自宅の住環境の改善について具体的に検討する必要性があることが示唆された。The objective of this study was to explore the connection between the facts regarding falls among the elderly who reside in their own homes and housing environment. We administered an anonymous, self−administered questionnaire to 300 respondents: the elderly 65 years and over who were attending an educational lecture for the elderly. The number of valid samples responses was 262 (87.3%) : 55 men and 207 women. The ccurrence of falls suffered during the prior one year was higher among the women (23.7% ; 49 respondents) than the men (7.3% ; four respondents) by a statistically significant difference (p<0.01) . The external injuries that resulted from falls at home were bruises (by one male) and brasions, sprains, and fractures among the women. The causes of falls were "tripping on a raised surface," "tripping on something." "slipping on something," etc. Those for whom nine factors( including" I feel like I m going to trip on a raised surface" and "I lose my balance on raised surfaces") applied were more numerous among those who had slipped than those who had not by a statistically significant difference (p<0.05). These findings suggest that the prevention of falls merits concrete consideration on the basis of not only demographics of the elderly but also with attention to improving the housing environment of the private homes of elderly individuals.
- 2010-03-15
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