典型的症状を欠いた膀胱褐色細胞腫の1例

概要

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33歳女。産婦人科にて子宮筋腫核出術を施行され、術後の骨盤部MRIにて膀胱腫瘍を指摘され当科紹介受診となった。膀胱鏡検査にて左側壁から前壁にかけて表面平滑な粘膜下腫瘍を認め、MRIでは膀胱筋層内に約3cm大で境界明瞭な卵円形の腫瘤を認めた。骨盤部CTでは同部位に石灰化を伴わない膀胱腫瘍を認め、造影剤による陰影増強効果を認めた。膀胱粘膜下膿瘍と診断して経皮的針生検を施行し、病理組織学的所見より褐色細胞腫と診断された。生検後の内分泌学的検査で血中尿中共にノルアドレナリンの高値を認め、131I-MIBG scanでは膀胱に集積を認める以外、他の部位に集積は認めなかった。以上より膀胱原発褐色細胞腫と診断し、膀胱部分切除術を施行した。摘除標本の大きさは4×4×2cmで、病理組織学的所見は生検標本と同じく褐色細胞腫の組織像で、筋層内に圧排性増殖を示し、被膜形成は認められなかった。術後経過は順調で、術後15日目に退院し、9ヵ月経過現在、血中カテコラミンは基準範囲内で再発も認めていない。
泌尿器科紀要刊行会の論文