16. 赤石山地東部の変成作用
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概要
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糸魚川-静岡線をはさんで,赤石山地主部から南部フォッサマグナまでのいわゆる外帯地向斜に,低度広域変成岩が露出する.この変成帯は次のような特徴的鉱物によつて少くとも3つに分帯できる.Zone I zeolite,zone II prehnite-pumpellyite,zone III actinolite.この変成岩系列はNew Zealandの中主代地向斜堆積物のそれに良く似ている.Zone I,II,IIIはそれぞれCoombsのzeolite fades,prehnite-pumpellyite metagraywacke fades,green-schist faciesにほぼ相当している.各zoneは北東-南西にのびており,zone III,II,Iの順に西北からほぼ帯状に露出している.古地理的資料と組み合わせて次のような結論を得た.1)変成作用の終了時期はzone毎に異なつていて,変成度の低い東の帯ほど新しい.変成作用の終了時期はzone IIは中新世初期の末(御坂統堆積末期),zone III(の一部)はこれより古い.Zone Iの変成は中新世中期以後(富士川統堆積以後)に終了した.2)はやく隆起がはじまり,削はく量の大きな地帯ほど変成度の高い岩石が露出している.すなわち現在の変成岩の露出分布は第一義的にはその後の隆起の性状に支配されている.各zoneの境界線はツォッサマグナの西縁線および外帯の帯状構造にやや斜交しているが,この現象は,沈降伝動の方向とその後の隆起伝動の方向とが斜交していることで説明される.変成時期は隆起地域および堆積盆地の東方移動の時期に歩調を合せて移動しており,したがつてこの地向斜帯では,1.変成環境もまた沈降-学位環境と共に側方に移動した.2.堆積し埋没するとそれにしたがつて変成していつた.中新世当時の新第三紀帯における地下増温率は,zone I,IIの境の埋没深度が2,000~4,000mと考えられるので,50~100℃/kmと推定される.三波川変成帯と本地域の変成岩は,外帯地向斜帯における一連の埋没広域変成作用の,時代と場所を異にした2部分である可能性がある.グリンタフ地域の変成は本地域の変成環境よりも低圧下で温度勾配が大きく交代作用のより著しい環境であつたと推定される.また,南部フォッサマグナ西縁部で堆積・構造作用と同様,変成作用にも古第三紀と新第三紀の間に断絶がないことがわかつた.The studied area is situated just east of the Sanbagawa metamorphic belt and includes a part of the South Fossa Magna region in the east. The rocks in this area are so called unmetamorphosed geosynclinal deposits of Mesozoic to middle Tertiary in age, which contain submarine basic effusives and intrusives. On the basis of the assemblages of metamorphic minerals in the basic to intermediate igneous rocks, the metamorphic area is divided into the following three zones representing different physical conditions of metamorphism:
- 東京大学地震研究所,Earthquake Research Institute, University of Tokyo,地震研究所の論文
- 1965-07-15
著者
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