<教材・教授法> 初級日本語学習者を対象とした読解教材の開発 : 素材に応じた読解技能養成を目指して
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概要
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筑波大学留学センターでは,初級日本語学習者を対象とした読解教材を開発し,1996 年度秋学期から使用を開始した。この教材は1)文字意識,文構成要素,文構成要素の関係,談話構造の把握といった基礎的な読解技能と,2)素材に応じて効率的に読むべき情報を収集する読解技能を平行して身につけることを目的としている。本稿では,まず,96 年度版の教材の目的及び構成を概観し,その上で1997 年3 月に96 年度版教材を使用した学習者に対して行ったアンケート調査に基づいて,本教材の問題点を考察する。次に,それらのフィードバックをもとに97 年度版えはどのような改訂を行ったかを報告し,1997 年8 月に97 年度版教材を使用した学習者に対して行ったアンケート結果に基づいて教材の問題点を考察するとともに,97 年度版を,小出(1991 )の枠組みに位置付け,それぞれの枠でどのような読解技能が必要とされるか,その技能を養成するためにはどのようなタスク形式があるかなどについて検討を加える。本稿の最後では,学習者の読解技能を向上させるためには,今度どのような目的と構成で教材を作成すべきかの議論を行う。The International Student Center of the University of Tsukuba has been developing and using Japanese reading materials for beginners since September 1996. These materials have the following aims; 1) to train basic reading skills such as recognition of characters, the sentential elements, the grammatical relation of elements, discourse structure, etc., 2) to train the reading skills necessary to extract relevant information from authentic materials. In this paper, the authors will first review the aims and structure of the materials for 1996 and examine the major problems through student qustionnaires conducted in March 1997. Secondly, the authors will report on the revision process based on feedback from students, and examine the major findings and problems through student questionnaires conducted in August 1997, and thirdly, the authors will try to classify each reading material according to the framework given by Koide (1991 ) and examine what kind of reading skills should be trained for a certain text type and what kind of tasks should be given. Finally, we will discuss the aims and ideal structure of such materials for enabling the students to develop reading skills.
- 1999-02-20
著者
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