がん医療において心理士に求められる介入のあり方について : 大阪大学医学部附属病院心のケアチームの臨床実践データから
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概要
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われわれは一昨年,心理士による「問題解決的カウンセリング」「患者家族への心理的援助」「医療スタッフへのコンサルテーション」の3つの介入方法を組み合わせることによって,患者本人,患者家族,医療スタッフそれぞれのがん治療における心理的な環境が改善されたことを報告した.今回の報告では,日々の実践データに基づき,前回示した3つの役割を含めた心理士の動きの全体的な構造をモデルケースの形で提示した.その結果,心理士に必要な姿勢として,治療上のイベントに焦点を当てること,患者本人と患者家族の情報を医療スタッフと共有すること,心理面のみに特化しない全体的ケアの観点によるアプローチ,の3点が見い出された.当院において心理士は,患者と患者家族-医療スタッフの関係維持を支える役割を大きく担っており,そうした心理士の動きは,患者に対する全人的医療の一部を担い,医療スタッフによる全人的医療の実践をサポートするものと考えられた.
- 日本心身医学会の論文
- 2014-03-01
著者
-
平井 啓
大阪大学コミュニケーションデザイン・センター
-
吉津 紀久子
大阪大学医学部附属病院保健医療福祉ネットワーク部
-
東井 申雄
大阪大学医学部附属病院保健医療福祉ネットワーク部
-
平井 啓
大阪大学コミュニケーションデザインセンター
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