トドマツ苗木の脱葉・枝枯れ現象発現試験(IV) : 人為摘葉を加えた枝枯病感染枝の非埋設越冬(会員研究発表論文)

概要

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枝枯病に感染させたトドマツ5年生苗木の1年生枝に,秋期,摘葉処理を加え,埋雪することなく越冬させた結果,翌春,次の事柄が明らかになった。(1)引抜き枝,鋏切り枝,特に引抜き枝で多くの非開芽枝を生じた。このことは,針葉の引抜きないし切断によって幹・枝に生じた傷から,枝枯病菌が侵入した結果,非開芽枝が生じたこと,脱葉痕からの本菌の侵入が容易なことを示唆するものと考えられる。(2)非埋雪越冬させ,雪圧の影響を排除したことによって,枝階による開芽・非開芽の違いは生じなかった。したがって,これまで報告されている枝階や枝の位置の高さによる脱葉・枝枯れ現象の違いは,雪圧のみの効果によるものとすべきであると考えられる。(3)摘葉処理の後,埋雪することなく越冬した苗木の枝で,頂芽が枯死し,枝枯れが生じた。枝枯病菌の生育には必ずしも埋雪を必要とせず,また摘葉処理等,幹・枝に傷を付けることが埋雪の効果を代替するものであると考えられる。(4)摘葉処理を加えず,埋雪することなく越冬した苗木の枝では,脱葉・枝枯れ現象の発現が全く見られなかった。幹・枝に傷を付ける行為が無く,雪圧の影響もまた無ければ,枝枯病菌が存在しても脱葉・枝枯れ現象は発現しないものと考えられる。(5)枝枯病菌は積雪の沈降圧,移動圧によって樹皮に傷や脱葉痕が生じて初めて,そこから幹・枝内に侵入し,脱葉・枝枯れ現象を発現するものと考えられ,トドマツの脱葉・枝枯れ現象は枝枯病菌と積雪圧とによって引き起こされる複合被害であると考えられる。
北方森林学会の論文
1994-02-28

トドマツ苗木の脱葉・枝枯れ現象発現試験(IV) : 人為摘葉を加えた枝枯病感染枝の非埋設越冬(会員研究発表論文)

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