トドマツ苗木の脱葉・枝枯れ現象発現試験(III) : 脱葉率の経年変化と隣接する枝枯病罹病苗木からの影響(会員研究発表論文)

概要

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野幌及び俄虫産のトドマツ4年生苗木に,枝枯病菌の感染・非感染処理を加えた。その苗木を,設置地上高,設置姿勢を異にして,枝枯病被害人工林跡地に設置し,埋雪越冬させる試験の第2年目を実施した。翌春,脱葉現象の発現状況を調査した結果,次の事柄が明らかになった。(1)枝枯病による脱葉現象の程度を左右するものは,枝枯病菌の密度ではなく,苗木の設置地上高とか設置姿勢とか,雪圧に関連する要因であると考えられる。(2)枝の埋雪位置や長短によって,積雪の沈降・匍行から受ける影響が異なるため,引っ張りや屈曲による脱葉・樹皮の損傷,脱葉痕や樹皮の損傷部を通じての枝枯病菌の樹皮層内侵入の可能性を異にして枝枯れ現象に進むため,結果として脱葉・枝枯れ現象の程度が異なるものと考えられる。そして,そのことは,脱葉・枝枯れ現象の生じ易さが樹齢によって異なる理由の一つであると考えられる。(3)脱葉・枝枯れ現象での積雪の役割は,沈降・匍行により,埋雪している幹・枝の針葉を引き抜き,屈曲によって樹皮に損傷を生じさせたり,屈曲枝が原形に復する際に,着生している針葉を置き去りにさせたりして,脱葉現象を発生させるとともに,樹皮の損傷部や脱葉痕を通じて,枝枯病菌が樹体内に侵入・繁殖し,その作用で脱葉現象が拡大するのを助けている可能性があると考えられる。要するに,脱葉・枝枯れ現象は雪圧と枝枯病菌との複合作用によって生じる現象であると考えられる。
北方森林学会の論文
1992-03-01

トドマツ苗木の脱葉・枝枯れ現象発現試験(III) : 脱葉率の経年変化と隣接する枝枯病罹病苗木からの影響(会員研究発表論文)

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