GISを利用した流域管理計画策定の試み

概要

論文の詳細を見る
札幌市近郊の国有林において, 目標計画法による流域管理計画策定を試みた。この際, 各機能の評価に必要なデータをGISを利用して算出した。GISに, 類型区分図, 等高線図, 河川図, 道路網図を入力し, 類型区分図から伐採対象地を抽出し, 等高線図から地形の傾斜分布を把握し, 河川図, 道路網図からある一定距離以内に含まれるエリアの抽出を行った。これらの結果から, 制約式として面積に関する制約, 土砂生産に関する制約を定式化し, 目標として収益を前年度以上にする目標, 水質源を保全する目標を設定し計算を実行した。この結果, 二つの目標とも満足する解が得られたが, 収穫される材が針葉樹に偏っていることがわかった。このため, 広葉樹材積が5,000m^3以上必要という目標を加え計算を実行した。収穫される材の針広率は改善されたが, 伐採面積は1.36倍必要であるという結果となった。本研究はGISを利用することにより個々の林分の各機能の評価に必要な多様な基礎的データを取得し, その結果を用いて実用的な計画策定を行う手順を示したものである。これにより森林管理者は, 計画決定に有用な情報を取得できるものと考えられた。
日本森林学会の論文
1996-02-16