初産婦が産褥早期に育児困難感を抱く要因 : 出産後から5日間の短期縦断調査より

概要

論文の詳細を見る
本研究は,初産婦の産褥早期の育児困難感に影響する要因を明らかにするとともに,ストレス反応の経時的変化と育児困難感の関連について明らかにすることを目的とし調査を実施した。この結果,対象褥婦89名の平均年齢は,32.5±5.5歳であり,高齢初産婦42名,適応年齢初産婦51名であった。ストレス反応であるアミラーゼの経時的変化は,有意差を認め(P<0.05),とくに産褥1日目と5日目(P<0.05),および産褥3日目と5日目(P<0.05)に差があり,産褥経過日数がたつほど測定値が高くストレス状態にあることが示された。一方,育児困難感を示す成分の「心配,困惑などの育児困難感I」は,出産年齢区分において高齢初産婦のほうが適応年齢初産婦より高得点であった(P<0.05)。成分間相関では有意な正の相関を示し,とくに「母親の不安」と「夫の心身不調」(r=0.52, P<0.001),「夫・父親,家庭機能の問題」と「夫の心身不調」(r=0.56, P<0.001),および「育児困難感I」と「夫の心身不調」(r=0.56, P<0.001)に強い正の相関を認め,高齢初産婦への精神的サポートの強化,および夫の妻への精神的サポートに重要性と,夫自身の父親役割獲得過程へのサポートも必要であることが示唆された。