歯肉扁平上皮癌のリンパ節転移に関する検討

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口腔癌における頸部リンパ節の制御はその予後に大きく影響する.原発巣に対しては放射線治療や外科的治療が選択されるが,頸部リンパ節転移に対しては標準的に頸部郭清術が行われている.またリンパ節転移は,原発部位によってその転移様相が異なる.1980年から2002年までに当科において根治的治療を行った上顎56例,下顎127例,計183例を対象に歯肉扁平上皮癌のリンパ節転移について検討した,TN分類はT1:21例,T2:95例,T3:33例,T4:34例,N0:86例,N1:83例,N2:14例で,全例M0であった.手術を施行した症例は145例で,このうち頸部郭清術を施行した症例は99例であった.初回治療において37例に組織学的にリンパ節転移を認めた.また後発転移は上顎では9例に,下顎では6例にみられ,全経過中では上顎で35%に,下顎で26%に組織学的にリンパ節転移が認められた.T1,T2で20%に,T3,T4で43%にリンパ節転移を認め,腫瘍の大きいものは転移率が高かった.転移の部位ではLevel Iが42例,Level IIが16例,Level IIIが2例で,Level IとIIに多くみられた.Kaplan-Meier法による5年累積生存率はStage I,IIでは95%,Stage III,IVでは69%で全症例では84%であった.転移レベルはLevel I41例,Level II23例,Level IIIが2例で,Level IIIにみられた症例はいずれも多発症例で予後不良であった.また5年累積生存率はpN-群とpN+群との間では有意差が認められた.
2013-03-25

歯肉扁平上皮癌のリンパ節転移に関する検討

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