ターミナル駅における犯罪不安物理的特性の影響

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都市部のターミナル駅を対象にして、犯罪不安を引き起こす環境の物理的特性について検討した。75名の実験参加者に、改札の外の部分を含むターミナル駅全体を移動するルートに沿って移動してもらい、あらかじめ決めておいた評定地点で、感じる犯罪不安の程度を評定してもらった。また、環境の物理的特性の測定として、実験者が各評定地点の1)騒音、2)周辺までの距離、3)照度の物理量の測定と、その地点が4)隠れられる場所、5)逃げられない場所、6)助けを呼べない場所かどうかのカテゴリー評定を行った。実験参加者個人の評定を用いた重回帰分析の結果、女性である、周辺の構造物までの最小距離が短い、周辺に暗い場所がある、犯罪者が隠れられるところがある、被害者が逃げられない、周辺に助けてくれる人がいない、場合に犯罪不安が高まることが明らかにされた。また、常にうるさい場合に不安が高まったが、それは今回の環境に固有の現象であることが考察された。性差が示されたことから、男女別に同様の分析を行ったが、結果に大きな差はなかった。また、各地点の評定の平均値を用いた重回帰分析を行ったところ、個人のデータを用いたものとほぼ同様の構造の回帰式が得られたが、寄与率が大幅に変化したことから、データの集計の水準への考慮の必要性が示されたとともに、犯罪不安に性差以外の大きな個人差がある可能性が示唆された。最後にターミナル駅における結果の意味と今後の研究課題が議論された。
人間・環境学会の論文
2011-08-25

ターミナル駅における犯罪不安物理的特性の影響

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