火のある暮らしの効用研究 : 暖炉によるコミュニケーション増進効果
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概要
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昔の日本家屋には囲炉裏や火鉢があって家族が周りに集まって食事をし、焚き火においては、人が火の周りに集まって話をする様子が見られ、火はコミュニケーションを促進する重要な要素として用いられてきた。一方、欧米では現在でも暖炉が一般的に使われており、暖房としてだけでなく、部屋の雰囲気作りのためのインテリアとしても重宝されている。「火」による心理的な効用を検証するために、暖炉あり条件と暖炉なし条件の2条件において、人間の親密度やコミュニケーションなどに変化があるかどうかの検証を行った。面識のない***1名と主婦1名を1組にして計30人に暖炉のある部屋とない部屋で50分間会話してもらい、主観評価の計測や、行動観察を実施した。その結果、暖炉あり条件では暖炉なし条件に比べて部屋の雰囲気が良く、主観評価結果から「リラックスする」、「癒される」、「親しくなれる」と感じており、「会話相手が自分に似ている」と感じられることがわかった。また、行動観察の結果から、2人の距離が縮まる、会話開始の時間経過とともに相手の話にうなずく回数が増える傾向にある、会話中の「会話が途切れた時間」が減ることがわかった。川のせせらぎ、雲の動きなど自然界における動きのある現象は、注意を引きつつも無意識で見ていられるため、集中力が回復するなどの癒しの効果があるが、暖炉の火にも同様の効果があると考えられる。
- 人間・環境学会の論文
- 2007-01-15
著者
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