2型糖尿病患者における健康行動理論を加えた継続栄養指導の有用性の検討
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概要
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継続栄養指導を受けながら効果の得られなかった患者に健康行動理論のトランスセオレティカルモデル(TTM)を付加した再教育を行なうことにより、血糖、体重、血圧、血中脂質諸値を良好なコントロール状態に近づけ、さらに今後の栄養指導のあり方(教育プログラム)について検討することを目的とした。当初の対象者は80名であったが、ドロップアウトした10名を除外して6ヶ月間の継続栄養指導を終了した70名のデータを解析した。指導前の70名の患者は肥満度が高く、血糖コントロール不良であった。また行動変容ステージは無関心期、関心期、準備期が約70%を占めており、糖尿病治療を実行している患者は30%であった。指導6ヶ月後には、BMI、腹囲、HbA1c、収縮期血圧、エネルギー、脂質摂取量に有意な改善が認められた。また、身体活動レベルが有意に改善され、行動変容ステージが無関心期、関心期、準備期の患者は57%に減少し、糖尿病治療行動に改善を認める患者が増加した。本プログラムでの栄養指導方法は、問題点の発見を問診票で行い、問題点を解決するためにそれぞれに合ったリーフレットを使用した継続指導である。無関心期、関心期、準備期で有効とされる意識の高揚、感情的経験、自己の再評価の考えが網羅された問診票とそのマッチされたリーフレットを使用することでステージに合わせた指導が可能であり、病態の改善につながったと考えられる。継続栄養食事指導患者において効果の得られなかった患者に再教育を行なうことにより、患者は自ら糖尿病治療行動の問題点に気づくと同時に自己効力感を高めることができ、食事習慣と運動習慣の改善を進めることが可能になったと推察される。継続的に栄養指導を行う場合、指導者だけでなく患者自身が自らの行動変容ステージや問題点、課題を把握した上で、栄養指導を随時受けることは効果的であった。今回のTTMを加えた教育プログラムを用いた栄養指導は、糖尿病患者治療を行う上で有用であることが示唆された。
- 2013-11-30
著者
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