「活動写真」から「映画」への用語の転換に見る映画と学校教育との接近について : 1920年代半ばの関猛の言説の分析から
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概要
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本稿では映画が教育的に利用可能なメディアとして学校教育の枠組みの中に位置づけられる過程を,他に先駆けて授業での映画利用を行った小学校訓導関猛の理論と実践を分析することで考察した。映画がまだ「活動写真」と呼ばれていた1910年代から20年代において教育関係者は活動写真の娯楽性や大衆性を批判し,悪影響を与えるという理由で児童や学校から遠ざけるべきものとして扱った。こうした状況下で映画教育を開始した関猛は,当時一般的ではなかった「映画」の語を使うことで,娯楽性や大衆性といった面を切り捨てて映像メディアとしての機能や教育的効果といった側面を焦点化させた。そして映画の利用が学校教育における目標達成に資することを示した。その結果,「映画」は学校教育の枠組みにおいて了解可能かつ利用可能な教材として位置づけられた。「映画」の語の出現とその意図的な使用は,授業での利用と研究を正当化させたという点において,映画教育という文化を生み出す上で重要な要素であった。
- 日本教育メディア学会の論文
- 2009-09-30
著者
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