がんの最新治療各論(3)乳がん

概要

論文の詳細を見る
我が国の乳がんを取り巻く状況は、近年大きな変貌を遂げている。罹患率は、これまで首位であった胃がんを抜いて女性のがんの第1位を占め、さらに増加の一途をたどっている。また死亡率も増加し、大腸、肺、胃、膵臓に次いで第5位となった。これに対応し、検診の推進や診断技術の向上とともに、新たな治療法やエビデンスの創出が日進月歩で進められている。,外科療法では、乳房温存療法に続いて、腋窩リンパ節に対する縮小手術としてセンチネルリンパ節生検の概念と技術が導入された。また、術中のリンパ節転移の診断法としてone-step nucleic acid amplification(OSNA)法が開発され臨床への応用が始まり今後の成果と普及が期待されている。,薬物療法においても、ホルモン療法、化学療法、分子標的療法を中心に新規薬剤の開発が相次いで進められている。そして、ターゲットを重視し個々の患者あるいは腫瘍に最適化された個別化治療へと、治療に対する考え方にも大きな変化がみられる。遺伝子や病理学的パラメータに基づいた、再発リスクより治療(薬剤)感受性、予後因子より治療予測因子を重視する治療戦略へとダイナミックなパラダイムシフトがおこっている。,放射線療法では、乳房温存術後の新たな照射法として加速乳房部分照射(accelerated partial breast irradiation; APBI)が注目されている。APBIは、現在標準とされている全乳房照射に比して短期間での治療が可能であり、欧米につづき本邦でも多施設での臨床試験が開始されている。,乳がん治療は、evidence-based medicine (EBM)や標準治療が浸透し、さらに個別化治療の時代を迎えた。時代の要請に即した的確な治療戦略の創設に向けて一層の取り組みが期待されている。
2013-06-25

がんの最新治療各論(3)乳がん

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク

がんの最新治療 各論(3)乳がん

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク

がんの最新治療各論(3)乳がん