乳管内腫瘍に対する乳管内視鏡分類

概要

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異常乳頭分泌症例に対する乳管内の検索は,乳管内微小病変の存在診断や良悪性の鑑別診断,さらに,病変が乳癌の場合には癌の乳管内進展状況を把握する上で重要である.我々は1990年6月に乳管内視鏡検査を開始し,これまで異常乳頭分泌症例411例に対して乳管内の観察を行い,独自に作成した乳管内腫瘍に対する乳管内視鏡分類に基づいて乳管内腫瘍の評価を行ってきた.今回,乳管内視鏡検査で病変が捉えられ良悪性の鑑別診断を行ったのち病理組織学的な検索により確定診断の得られた乳管内腫瘍191例について,乳管内視鏡分類を用いた良悪性診断の妥当性について検証した.191例の病理組織学的診断の内訳は,乳腺症17例(8.9%),乳管内乳頭腫103例(53.9%),乳癌71例(37.2%)であった.また,乳癌71例中36例(50.7%)は非浸潤性乳管癌であった.乳管内視鏡分類では,腫瘍の形態を有茎型,広基型の2型に大きく分類し,さらに広基型については半球型,凹凸不整型,不整隆起型の3型に亜分類している.有茎型を良性,広基型を悪性として算定したnegative predictive valueおよびpositive predictive valueはおのおの90.1% (n : 121), 84.3% (n : 70)と良好であった.さらに,広基型の亜型別にpositive predictive valueをみると,半球型68.4% (n : 19),凹凸不整型91.7% (n : 12),不整隆起型89.7% (n : 39)であり,凹凸不整型と不整隆起型の診断成績は良好であったが,半球型は,31.6%が良性腫瘍であり,この型の診断精度向上が今後に残された課題であると考えられた.乳管内視鏡分類は,乳管内腫瘍の病理組織学的な増殖,進展様式の特徴を的確に反映しており,乳管内腫瘍の診断に極めて有用である.乳管内視鏡による診断は,今後,早期・微小病変をターゲットにした乳腺疾患の診断と治療にさらに大きく貢献し得るものと確信する.
東京女子医科大学の論文

乳管内腫瘍に対する乳管内視鏡分類

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