加齢は質の異なる抑制機能を低下させる : フランカー課題とサイモン課題中の脳活動計測を用いて(コミュニケーション支援及びヒューマンコミュニケーション一般)
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概要
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加齢にともない抑制機能が低下するが、そのプロセスー様ではない。たとえば、高齢者はストループ課題などでは若齢者に比べて反応時間が長くなりエラーも増加するが、go/no-go課題などには加齢の影響はない。高齢者が若齢者と同等の遂行を示す際には、前頭前野の血流量が若齢者より増加するとの報告がある。そこで本研究では、フランカー課題とサイモン課題の遂行中の前頭前野の血流量の変化を近赤外線分光法(NIRS)により調べた。その結果、従来と同様にフランカー課題では加齢による違いはなかったが、サイモン課題では高齢者の反応時間は若齢者より有意に延長した。フランカー課題では高齢者の脳活動のほうが顕著であった。不一致条件が一致条件よりも有意に脳血流量が増加したのは、サイモン課題の前頭前野右背外側のみであったが、両年齢群間でそれらの変化に違いはなかった。すなわち、若齢者と高齢者で脳血流に差がないときには、刺激-反応の抑制に加齢の効果が見られることが明らかになった。
- 2012-05-15
著者
-
正高 信男
京都大学霊長類研究所
-
川合 伸幸
名古屋大学
-
川合 伸幸
京都大学霊長類研究所
-
川合 伸幸
名古屋大
-
久保(川合) 南海子
愛知淑徳大学心理学部
-
久保 賢太
科学技術振興機構
-
寺澤 多恵
名古屋大学情報科学研究科
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