外来植物の駆除現場におけるボランティア活動と事業活動の特性比較
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概要
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外来生物の駆除は、地域のボランティアが実施する場合が多い。一方、近年では行政が主導する事業として地域の民間業者等に駆除作業を委託する場合も増えてきている。ボランティアによる駆除活動は、集まる人数に安定性を欠くと考えられる。これに対して、行政が主導し事業化した駆除活動は、対象範囲等、規模の拡大に伴い予算が膨大になるという問題がある。それぞれの主体を駆除活動に活かしていくためには、その特性を事前に把握しておく必要がある。本報告は、ボランティアが駆除作業を実施する場合、および行政が事業化し、業者が駆除作業を実施する場合の両ケースが行われている3つの国立公園において、特定外来生物オオハンゴンソウの駆除活動を例に、それぞれの駆除活動における作業参加者数と作業効率を定量し、比較した。その結果、ボランティア活動はまれに大人数を動員し、1回の活動で極めて多数の株を駆除できたケースがあったが、その成果には振れがあり、非常に少数しか駆除できないケースもあった。一方、事業活動は、活動回ごとの駆除株数は多くないものの、活動の間では非常に安定していた。実際の駆除現場においては、生育規模や範囲といった条件を勘案した駆除計画を立てた上で、効率的に労力を配分していくことが望まれる。
- 2012-11-30
著者
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赤坂 宗光
国立環境研究所環境リスク研究センター
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大澤 剛士
神戸大学大学院人間発達環境学研究科
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赤坂 宗光
国立環境研究所
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大澤 剛士
独立行政法人農業環境技術研究所
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赤坂 宗光
東京農工大学大学院農学研究院
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