繁殖干渉による寄主特殊化の進化(<特集2>いま種間競争を問いなおす : 繁殖干渉による挑戦)
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概要
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本稿の目的は寄主特殊化における繁殖干渉の重要性を主張することである。多くの動物は寄主の周辺で繁殖を行うため、資源利用の仕方と繁殖成功は深く関わっていると考えられる。しかし、資源競争の効果が疑問視されてから、寄主特殊化の研究において同じ栄養段階に属する種間の相互作用はほとんど注目されることなく、繁殖干渉の重要性も評価されていない。そこでまず、寄主特殊化の要因として従来考えられてきた昆虫と寄主との共進化について、現在得られているパターンを整理する。昆虫学、化学生態学、分子系統学といった学問分野の成果を引用しながら、共進化の概念だけでは寄主特殊化を十分に説明しにくいことを示す。次に、捕食性テントウムシのクリサキテントウHarmonia yedoensisとその近縁種であるナミテントウHarmonia axyridisを用いて私たちが進めている実証研究について紹介する。クリサキテントウはナミテントウからの繁殖干渉を避けるために捕まえにくいアブラムシに特殊化したという仮説を検討する。最後に、実証研究の結果をもとにして、寄主特殊化の鍵となる昆虫の産卵選好性の進化について議論をし、寄主特殊化における成虫の行動の重要性を指摘する。
- 2012-07-30
著者
-
大澤 直哉
京都大学大学院農学研究科
-
鈴木 紀之
東北大学大学院生命科学研究科生態システム生命科学専攻
-
西田 隆義
滋賀県立大学環境科学部
-
西田 隆義
滋賀県立大学環境科学部環境生態学科
-
西田 隆義
滋賀県立大学大学院環境科学研究科
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