繁殖干渉の視点から競争実験を再検討する(<特集2>いま種間競争を問いなおす : 繁殖干渉による挑戦)
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概要
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種間競争の結末は競争排除か共存のいずれかに終わるはずである。均一で閉鎖的な実験条件下で競争排除が容易に生じることは、不均一で開放的な野外環境下では資源分割による共存が生じうることを予想させる。したがって種間競争は野外の生物の資源利用様式を決定づける大きな要因と考えられてきた。資源競争の理論的予測によれば、競争排除が起きるためには、種間の強い密度依存効果が必要となる。Gauseが競争排除則を提唱して以来、多くの室内競争実験により競争排除が繰り返し観察されてきた。そしてそれらの結果から種間の強い密度依存効果の存在が推定されてきた。しかし競争排除を起こすほどの強い競争メカニズムを具体的に示した研究は少ない。我々は種の絶滅を引き起こす要因として、種間の性的相互作用である繁殖干渉に着目して研究を進めてきた。繁殖干渉は正の頻度依存性をもつため種の絶滅を起こしやすいことが予測されている。本稿ではまずマメゾウムシ2種を用いた一連の実験結果から、繁殖干渉の非対称な関係と競争実験の結果が一致することを示す。次に繁殖干渉のメカニズムを検討する。一般に繁殖の過程は多くの段階にわかれているため、繁殖干渉もその各段階で生じうる。交雑は繁殖の過程の最終段階で生じる繁殖干渉にあたる。これまで交雑が最も注目される一方、それより前の繁殖過程に生じる種間のハラスメントは見落とされてきた。本論文では、マメゾウムシの競争系において、遺伝的な痕跡が残らない種間ハラスメントの重要性を指摘する。最後に、これまで行われてきた多くの室内競争実験の結果を繁殖干渉の視点から再検討する。繁殖干渉がより一般的に種の絶滅を予測できる可能性を議論する。
- 2012-07-30
著者
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