保育士のヒヤリハット体験
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概要
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保育場面で発生するヒヤリハット体験について保育士197名に質問紙調査を依頼し,以下のような結果を得た.(1)発生頻度について,76.6%の保育士が過去3か月のうちで,また76.1%の保育士が過去1年間のうちで少なくとも1回はヒヤリハット場面を体験した.(2)情報の共有化について,自分のヒヤリハット体験を上司等に報告した保育士は77.2%,他の保育士の保育に対しヒヤリハットを体験を目撃したことがあるのは63.5%,保護者による子どもへの対応でヒヤリハット体験を目撃したことがあるのは75.6%,保育実習生の保育についてヒヤリハット体験を目撃したことがあるのは66.0%であった.後者3つの間には有意な正の相関関係が見出された.しかしながら,当人にそれを伝えるかどうかについては,他の保育士へは52.3%,保護者へは40.6%にとどまった.(3)保育実習について,保育士が保育実習生が起こしたヒヤリハット体験を当人に伝えるとしたのは87.8%であった.(4)保育経験年数と,「他の保育士」,「保護者」,「保育実習生」の保育に関するヒヤリハット体験の数との間には有意な正の相関がみられた.(5)ヒヤリハット体験の自由記述を田中・石井(2003)による54の事故場面と関連づけたところ,子どもどうし,保育室,園内,遊具の場面に分類されるケースが多く,おもちゃ,園庭の場面に分類されるケースは少なかった.(6)自由記述において54の事故場面以外に新たに,誤飲,保育士と子どもの衝突,施設上の死角などについてヒヤリハット体験が得られた.(7)最後に,ヒヤリハット体験と事故発生との間の時間的な連鎖について危険感受性を育成するという観点から考察を行った.
- 2009-12-30
著者
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