温帯二次林において皆伐がヤブツバキ落葉の分解と漂白に与える影響
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概要
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皆伐がヤブツバキ落葉の分解に与える影響を温帯二次林で調べた。本研究では特に,葉リターに現れる漂白部のパターンと,リグニンなどを含み落葉分解の律速要因として知られている酸不溶性残渣(AUR)の分解に注目した。ヤブツバキ落葉はリグニン分解菌の定着とAURの分解に起因する漂白部の出現により特徴付けられる。リターバッグ法を用い,皆伐区と近接の非撹乱な対照区で18ヶ月間の分解を調べた。皆伐区で対照区より,葉リターの残存重量は高く,漂白面積は小さくなった。分解過程を通してAUR含有率は漂白部で非漂白部より低いことが分かった。一般化線形モデルの結果より,AUR含有率を説明する要因の内,漂白と積算重量減少には有意性が認められたが,調査区には認められなかった。これらの結果より,皆伐は,漂白面積拡大の要因となるリグニン分解菌の伸長を抑制したが,そのリグニン分解菌のAURの分解活性には影響しないことが示唆された。皆伐区での重量減少の低下と漂白面積の抑制は,乾燥などの林床の微小環境の変化が菌糸の成長を抑制したことに起因すると考えられる。
- 2012-02-14
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