スノキ属低木における分枝の規則性と光環境に対する可塑性
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概要
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低木種のウスノキ(Vaccinium hirtum)とシャシャンボ(V. bracteatum)について,分枝の規則性と光環境に対する樹冠構造の可塑性を比較した。さまざまな光環境に生育する地上幹の樹冠頂端から当年枝を選び,これを親枝とした。翌年度に生産された娘枝の数,枝長,仰角等を測定し,親枝から娘枝への分枝パターンを定量した。重回帰分析によって,分枝パターンに対する親枝長と光環境の影響を解析した。両種ともに,娘枝の数や長さは,親枝長に対して有意な正の相関を示した。サイズ依存的な分枝規則があるといえる。シャシャンボでは,娘枝数,平均娘枝長,娘枝仰角に対して光環境が強く影響し,明るい環境では短く直立した枝が多数生産されていた。分枝の光環境に対する可塑性が高いといえる。それに対し,ウスノキの分枝のパターンは,親枝長によって強く決定され,光環境による影響をほとんど受けていなかった。枝長に依存した分枝の規則性が高く,光環境に対する可塑性が低いといえる。またウスノキでは,長く直立した親枝からより短く斜方した娘枝が派生する規則が強く見られた。このような分枝の規則性と光環境に対する可塑性に見られた種間の違いは,複幹で小型な低木であるウスノキと,単幹の傾向が強く大型な低木であるシャシャンボの成長戦略の違いとして解釈できる。
- 応用森林学会の論文
- 2004-09-30
著者
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