土壌の窒素濃度がリターの分解および養分動態に及ぼす影響
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概要
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滋賀県田上山のクロマツ植栽林において,土壌の窒素濃度が分解および養分循環に及ぼす影響をリタ-バッグ法を用いて調査した。3種類の土壌の異なる窒素条件は,リターバッグをそれぞれリター層上(タイプH),リター層除去によるA層上(タイプM),リター層およびA層除去によるB層上(タイプL)に置くことによって得た。土壌の窒素濃度はそれぞれの0.87±0.31,0.13±0.03,0.05±0.02%であった。リターバッグは1998年6月から1999年4月まで2ケ月ごとに回収した。リターの分解速度は,タイプHでk=0.52,タイプMでk=0.48,タイプLでk=0.43であり,3つのタイプ間で異なっていた。炭素,ナトリウム,マグネシウムの重量変化は針葉と同様に分解に伴う減少傾向を示したが,窒素およびリンは濃度と重量の両方で分解に伴う上昇がみられた。カルシウムは濃度と重量の両方で初期には上昇したが,後期にはいって減少し,カリウムは濃度と重量の両方で初期溶脱がみられ,その後不動化がみられた。最も高い窒素濃度をもつタイプHでは外部起源の窒素の高い不動化がみられた。最も低い窒素濃度をもつタイプLでは,不動化は最も低く,重量は減少した。中間の窒素濃度をもつタイプMではタイプHとタイプLの中間の不動化量と重量減少を示した。
- 応用森林学会の論文
- 2000-03-20
著者
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