CTにて診断された肝膿瘍の2症例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
肝膿瘍は治療が遅れると敗血症や多臓器不全を来たし、致命的な転帰をとることがある。そのため、早期の診断と治療が肝要だが、肝膿瘍は特異的な所見に乏しく診断は困難である。今回、発熱を主訴に来院し、CTにより肝膿瘍と診断された2例を経験したので報告する。症例1:69 歳男性。41℃の発熱があり、熱中症を疑われて当院救急部に搬送された。血液検査所見から肺炎を疑ってCTを撮影したが、肺野に異常陰影は認められなかった。しかし、肝に低濃度吸収域を認めたため腹部造影CTを施行し、肝膿瘍と診断された。症例2:51 歳男性。41℃の発熱があり、新型インフルエンザ疑いで当院救急部に搬送された。血液検査所見から肺炎を疑い、CTを施行した。肺野に異常陰影は認められなかったが、CTで肝の低濃度吸収域を認めたため腹部造影CTを施行し、肝膿瘍と診断された。 考察:これまでの報告では、肝膿瘍は特徴的な所見に乏しいといわれており、臨床症状や血液検査から肝膿瘍を特異的に診断する方法はない。今回の症例では肺炎などを疑ってCTを施行した際に、肝の低濃度吸収域を指摘することができた。肝膿瘍は、非侵襲的で簡便な腹部超音波検査でも指摘できることがあるが、術者の技術によって見落とされることもある。したがって、原因が明らかではない発熱患者には、CT まで施行することで肝膿瘍を指摘できる可能性がある。
- 2012-02-25
著者
-
林田 昌子
山形大学 医学部救急医学講座
-
伊関 憲
山形大学医学部救急医学講座
-
林田 昌子
山形大学医学部救急医学講座
-
清野 慶子
山形大学医学部救急医学講座
-
篠崎 克洋
山形大学医学部救急医学講座
-
杉山 恵一郎
山形大学医学部附属病院卒後研修センター
-
阿部 尚弘
山形大学医学部附属病院卒後研修センター
-
伊関 憲
山形大学医学部器官機能統御学講座急性期生体統御学分野
関連論文
- Fallot 四徴症根治術後に発症した横紋筋融解症の一例
- アナフィラキシーショックの治療にβ遮断薬が影響を及ぼし心肺停止に陥った1症例
- 剖検により判明した心サルコイドーシスの1例
- 5. 急性腎不全の予後は改善したか? : 山形大学ICUにおける過去15年間の成績(日本アフェレシス学会第12回東北アフェレシス研究会抄録)
- 5.急性腎不全の予後は改善したか? : 山形大学ICUにおける過去15年興の成績(日本アフェレシス学会第12回東北アフェレシス研究会抄録)
- 大孔径PMMA膜の持続血液濾過法におけるサイトカイン除去の評価 : 日本アフェレシス学会第11回東北アフェレシス研究会
- Pulse CO-Oximetryの使用経験
- First Defenderを用いたアセトアミノフェンの検出
- 骨髄路 (特集 「救急蘇生ガイドライン」課題と展望) -- (医療従事者の救命処置)
- 中毒初級講座(第3回)消化管除染
- 低容量のドパミン投与により治療したクレゾール中毒の一例
- 急性冠症候群と考える院外心停止の1剖検例
- ツキヨタケ中毒の4症例
- P-407 当科における小児外傷の治療状況 : 肝損傷を中心に(小児救急2,ポスターセッション,第48回日本小児外科学会学術集会)
- 塩化カルシウムが著効したジルチアゼムなどの大量服薬の2症例
- 東日本大震災における山形大学医学部附属病院 Disaster medical assistant team(DMAT)活動報告
- 剖検により全身性炎症の合併が判明した心臓突然死の一例
- CTにて診断された肝膿瘍の2症例
- 東日本大震災直後での山形大学医学部附属病院救急部の診療状況
- 超速効型及び持効溶解型インスリンアナログの大量注射による低血糖にグルカゴンが奏効した一例
- 咳嗽と血痰を主訴に救急搬送された外国人結核の1例
- 自然災害と急性一酸化炭素中毒 (特集 中毒診療のトピックス)
- P2-35-1 妊娠末期に胎児機能不全を認め帝王切開後に右片側腎・腎動脈瘤破裂を判明した一例(Group91 合併症妊娠(症例)6,一般演題,第64回日本産科婦人科学会学術講演会)