スリランカの農園セクターにおける妊婦の健康と潜在能力 : A.Senの自由の概念から
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概要
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スリランカは途上国のなかでも妊婦健診や分娩前のケアが行き届いている。一方で都市,農村,農園のセクター別の格差が大きく,農園では死産や低出生体重児が高率にみられる。1人の女性が健康を享受できるかどうかは政策や保健サービスの条件,母親自身の母体管理のあり方に影響を受ける。すなわち,妊婦がどのような妊娠プロセスを実現できるかは,健康状態を保つための機会が開かれているかどうかが重要な鍵となる。2009年8月,農園セクターのヌワラエリヤ地域において113人の妊婦の健康および社会調査を行い,妊婦にとってどのような健康状態が達成されるべきか,潜在能力(ひとの機能)の観点から分析した。その結果,茶摘み職に就いている農園労働者の妊婦は非農園労働者に比べBMIが低く,教育や社会的・経済的水準も低い状態に置かれていた。農園の妊婦にとって,ひとの基本的な機能を達成する自由,すなわち適切な住居や水,栄養素,教育や医療へのアクセスなどの本質的自由の向上と,労働条件の改善や社会参加などひとの生き方の選択にかかわる政治的,経済的,社会的自由の条件の整備が必要である。それは自らのwell-beingに関心をもつことにつながり,これらが農園の妊婦の最重要課題である。
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