アジアのマツタケおよびマツタケ近縁種の宿主樹木
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本・中国東北地方・朝鮮半島産のマツタケはおもにアカマツを宿主とする.しかし,中国とブータンのマツタケ発生地のうち,7ヶ所は広葉樹・マツ属混交林に,1ヶ所は常緑コナラ属林に発生した.マツタケの起源と進化を知るためには,共進化してきた宿主の確認が重要である.そこで菌根形成した根の樹木解剖学的な特徴からマツタケの宿主の属あるいは種を識別した.6ヶ所ではおもにシイノキ属・マテバシイ属あるいはコナラ属を宿主とし,1ヶ所はマツ属を宿主とし,1ヶ所はマツ属とコナラ属のいずれも宿主としていた.中国西南部のマツタケは,標高2,000-2,800mではおもにシイノキ属やマテバシイ属樹木を宿主とし,ブータン・東チベット・横断山脈の約3,000-3,800mの高山地帯ではおもに硬葉常緑コナラ属と共生していた.ラオスのニセマツタケはシイノキ属・マテバシイ属を宿主としていた.これらの結果は,シイノキ属・マテバシイ属・常緑コナラ属などの環境遺存種がマツタケの宿主として針葉樹よりも先行していたことを示唆する.
- 2011-07-31
著者
-
山中 勝次
京都菌類研究所
-
曹 暉
上海農業科学院・食用菌研究所
-
會見 忠則
鳥取大学農学部微生物資源学分野
-
万 佳〓
鳥取大学大学院連合農学研究科
-
曹 暉
上海市農業科学院食用菌研究所
-
陳 明杰
上海市農業科学院食用菌研究所
-
會見 忠則
鳥取大学農学部
関連論文
- 中国におけるきのこ産業の新しい展開(きのこ情報)
- ヤマザクラの根系分布と樹木活力度および土壌硬度の関係
- 広葉樹林から分離されたマツタケ菌糸体が生産する菌体外β-グルコシダーゼの精製と性質
- 広葉樹林から分離されたマツタケ菌糸体が生産する菌体外β-グルコシダーゼの精製と性質
- 第15回国際きのこ学会議報告
- アジアのマツタケおよびマツタケ近縁種の宿主樹木
- 「第6回きのこの生物学ときのこの生産物に関する国際会議,ボン」に参加して(海外レポート)
- 「第5回菌根性食用きのこに関する国際ワークショップ」に参加して(海外レポート)
- 開花期のサクラ類の活力度評価 : 奈良県吉野山のヤマザクラを事例とした検討
- 吉野山五郎平茶屋地区の土壌化学性とその将来予測
- 吉野山におけるナラタケ類発生地の土壌と生物防除の検討
- マツタケおよびアジアの広葉樹林から採集される近縁種の遺伝的多様性
- 「福島原発事故による放射能汚染とその対策」 : きのこを中心とした風評被害防止の観点から(きのこ情報)
- 食用きのこに含まれる抗酸化活性の評価
- 地形によって規定される日照条件が奈良県吉野山のヤマザクラの生育状態に及ぼす影響
- マツタケおよびアジアの広葉樹林から採集される近縁種の遺伝的多様性
- 食用きのこに含まれる抗酸化活性の評価
- 花数調査によるサクラ類の活力度評価について : 奈良県吉野山のヤマザクラを事例とした考察
- ツキヨタケ(Omphalotus guepiniformis)によるIlludin Sの生産
- ツキヨタケ(Omphalotus guepiniformis)由来物質illudin Sの毒性の再検討 : 抗菌および抗線虫活性
- ブナシメジ子実体形成時における菌糸体内セリンプロテアーゼの精製と酵素化学的諸性質の解明