解析的二次音源モデルに基づく回折のレイトレーシングシミュレーション

概要

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レイトレーシングは計算の簡易さから有効な音響シミュレーション手法として広く用いられている.しかしながら,一般的に使用されているレイトレーシングは回折を再現することができない.そこで本稿では,レイトレーシングを利用してエッジ回折のインパルス応答を計算する手法を提案する.提案手法は解析的二次音源モデルにおける多重積分のモンテカルロ法に基づく解法であり,被積分関数の標本値をレイトレーシングによって計算する.提案手法と従来のレイトレーシングの手続きは多くの部分において共通するため,レイトレーシングにおける既存の実装法や高速化手法が適用可能である.また,本手法は重点サンプリングを利用した標本数の削減も試みる.本稿では,レイトレーシングエンジンOptiXを用いて提案手法を実装し,グラフィックプロセッサ上での高速な動作を実現した.さらに,重点サンプリングとして寄与の小さい回折経路を除外する戦略を採用し,標本数の増加を抑えつつ良好な結果が得られることを二次回折のシミュレーションにより確認した.
2010-10-14