大阪湾奥部における大型底生動物の動態について : I.甲殻類と魚類の種類数・個体数・湿重量の季節変化
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概要
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大阪湾奥部は富栄養化が顕著で夏期には底層が貧酸素化する海域である.この海域の生物相の把握を目的として,1993年11月から1996年2月に10回にわたって,12調査線の大型底生動物を底曳網によって採集し,これらの分布状況や季節変動を調べた.この結果,甲殻類51種,魚類48種,軟体動物26種等,合計136種が採集され,これらには63種の水産有用種が含まれていた.甲殻類と魚類について種類数・個体数・湿重量および多様度をまとめたところ,いずれも8月が最小であったが,11月以降回復し,多くの場合5月に最大となった.8月が最小であったのは,酸素飽和度が1〜22%という強い貧酸素化が原因と考えられた.夏期には移動能力の大きいヨシエビ・マコガレイ等の少なくとも一部は貧酸素水塊を避けて移動し,それ以外の甲殻類と魚類は死滅するが,貧酸素解消後に稚仔が大量に移入して成長するため,春期には莫大な現存量になることが推察された.
- 日本海洋学会の論文
- 1997-08-29
著者
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