汽水湖中海における貧酸素水塊形成時の硝化・脱窒(シンポジウム:閉鎖性汽水域における物理・化学・生物学的過程)
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概要
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汽水湖中海では,湖心部(水深,6.8m)の下層において,貧酸素水塊形成時の8月から9月にかけて高濃度の亜硝酸イオンが生成するという特徴的な現象が観測される.この亜硝酸イオンの挙動に着目し,その生成要因を究明するとともに,無機態窒素(アンモニウムイオン,亜硝酸イオン,硝酸イオン)の変動メカニズムについて現場観測,室内および現場実験により検討した.中海は浅い湖であるにもかかわらず,中層付近に形成される塩分躍層により成層化が発達している.そのため,夏季,塩分躍層以深では,溶存酸素が消費され貧酸素水塊が形成される.それに伴い,アンモニウムイオンの生成が見られるが,次いで,アンモニウムイオンの減少に伴う亜硝酸イオンの生成・蓄積が見られた.貧酸素水塊におけるこの亜硝酸イオンの生成は,潮汐によって日本海海水(豊富な酸素を含有)が流入する際,酸素が供給されることの影響を受け,アンモニウムイオンが酸化されること(硝化反応)に起因すると考えられた.硝酸イオンへの酸化が進まないのは,中海が浅い水域であるため光阻害を受けやすいことが主要因と考えられた.さらに,総無機態窒素が減少するのは,硝化により生成した亜硝酸イオンが,底泥界面において脱窒されるためと考えられた.
- 日本海洋学会の論文
- 1997-08-29
著者
-
清家 泰
島根大学総合理工学部
-
奥村 稔
島根大学総合理工学部物質科学科
-
藤永 薫
島根大学総合理工学部物質科学科
-
藤永 薫
島根大学総合理工学部
-
黒住 誠司
島根大学総合理工学部
-
奥村 稔
島根大学総合理工学部
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