福島県いわき市における農林複合経営と森林の地域管理
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概要
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農林複合経営は,労働力や生産物の補完関係,経営の危険分散をメリットとしており,個々の農林家により農家経営に密着した形で実施されてきた。近年,地域の住民が都市部に勤務し農作業が週末などに集中して分散的になる中で,圃場整備,機械化に伴う効率化が推進され様々な集落営農が行われてきている。しかしながら,森林管理は木材価格の低迷のために,作業が充分行われず資源の有効活用も行われていない。そこで本論文は,集落営農により農林業従事者と都市への常勤者が地域内で共存する中で,森林の地域管理の現代的特徴とその問題点を明確にし,担い手と地域住民との関係について検討した。事例は,集落営農の実施とその担い手が存在すること,都市への常勤者が多いこと,共有林が存在しその管理が行われていることなどの特徴を踏まえ,福島県いわき市S地区と地区の中心的な農林家であるT家を事例として取り上げた。その結果,T家では農業(稲作,大豆,和牛)と林業(素材生産,共有林利用,丸棒生産)の複合経営が時代のニーズに対応しながら行われてきていること。S地区では,都市への常勤者は農業を委託しているが,森林からの収入は期待されず,また委託も行われていないため個人所有の森林は放置傾向にあること。一方,共有林管理は,地区住民による伝統的な組織体制の中で作業が行われてきていることがわかった。そして,林業の長期性,素材生産などの特殊技術と作業規模を考慮した組織化が必要であること。材価の低迷が地域の独自性を活かす方向となっていないことから,素材の活用や販売先についての情報管理や戦略が必要であることを示唆した。
- 2010-12-01
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