ホシボシトガリバ属とその近縁属の再検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本報では,ホシボシトガリバ属(Demopsestis)とこれに近縁な3属(Takapsestis, Neoploca, Asphalia)の再検討を行った.これらの属はいずれも1属1種とされてきたが,属Demopsestisには台湾産の1新種が,また属Takapsestisにはインド,ジャワ,スマトラにかけて分布する4種が加わることがわかった.ヨーロッパの属Asphaliaは,同じくヨーロッパの属Polyplocaのシノニムとされてきたが,雌雄交尾器の形状からこれら2属は別属と考えられるので,属Asphaliaを復活させた.本報での取り扱いを再記すれば次の通り.属Demopsestis MATSUMURA,1927 Demopsestis punctigera (BUTLER,1885)ホシボシトガリバ〔日本・韓国〕Demopsestis formosana sp. nov.〔台湾〕本種はむしろ,次に述べる台湾のTakapsestis wilemaniella MATSUMURAに似るが,下唇髪3節がより短いこと,頸板が赤色味を帯びないこと,前翅外縁線が後半部で途切れずなめらかとなることなどによってwilemaniellaと区別できる.属Takapsestis MATSUMURA,1933 Takapsestis wilemaniella MATSUMURA,1933(タカムクトガリバ,タイワンウスムラサキトガリバ)〔台湾〕岸田(1978,台湾蛾類図説(18),月刊むし(92):27-28)がPolyploca albibasis WILEMANとして図説したのは本種であるが,この名はホモニムのため上掲の名称が使用されるTakapsestis sumatrensis (GAEDE,1930), stat. et. comb. nov.〔スマトラ〕Takapsestis semiobsoleta (WARREN,1915), comb. nov.〔ジャワ〕Takapsestis orbicularis (MOORE, 1888), comb. nov.〔インド(パンジャブ・シッキム)〕Takapsestis bifasciata (HAMPSON,1896), comb. nov.〔インド(シッキム)〕私は先に本種を属Epipsestisの中で触れたが(YOSHIMOTO,1982),大英博物館のHONEY氏によれば前種とともに属Takapsestisに含まれるという.属Neoploca MATSUMURA,1927 Neoploca arctipennis (BUTLER,1878)マユミトガリバ〔日本〕SICK(1941)は本種に近縁として中国からPolyploca nigropunctataを記載した.私は未だこの種を調べたことがないが,その出現期(11月)から考えて他の属(例えばEpipsestis)に属するものと思う.属Asphalia HUBNER, [1821], gen. rev. Asphalia ruficollis ([DENIS et SCHIFFERMULLER], 1775), comb. rev.〔ヨーロッパ〕
- 1983-10-20
著者
関連論文
- ホシボシトガリバ属とその近縁属の再検討
- フィリピン,スラウェシからのDiehlea属の3新種
- ミャンマー産ミドリモンコノハの1新種
- 東および東南アジアに生息する冬期に活動するキリガ,チャマダラキリガ属(鱗翅目,ヤガ科)の研究(西太平洋における島弧の自然史科学的総合研究 第1期:台湾およびフィリピン)
- フィリピン産Lagoptera javanica(Gaede)の1新亜種
- 日本産イラガの新属新種
- スラウェシ産アシブトクチバ属の1新種
- タイ北部産のBrana属の1新種
- 日本,台湾,ミャンマー産のDiomeaの2新種とオオトウアツバの所属
- 日本産コヤガの新属新種