フィリピン産Lagoptera javanica(Gaede)の1新亜種
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概要
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ムクゲコノハ属Lagoptera Guenee,1852は,独特の斑紋や♂前翅の特徴的な翅形と♂後翅内縁の長毛,やや扁平な腹部背面の状態などによってよく特徴付けられ,ヒマラヤから北東アジア,またはフィリピン,スラウェシまでのスンダランドにかけて2種を産する.1種は日本にも分布する広域種のムクゲコノハL.juno(Dalman,1823)であるが,他の1種,L.javanica(Gaede,1917),は純粋にスンダランドの蛾で,模式産地のジャワおよびスマトラに原名亜種javanica,ボルネオに別亜種defasciata(Gaede,1917)(=acaerulea Holloway,1976)が知られている.最近私は,一見この属の第3の種とも思えるようなフィリピン(ミンダナオ島)産の小数の標本を調べる機会に恵まれ,調査した結果,L.javanicaの新亜種を代表することが分かったので,L.javanica variabilis Yoshimotoとして記載した.この亜種は,小型なこと,前翅亜外縁線が下方で内湾しないこと,後翅中央の青色帯が発達しないこと,後翅外縁の黄色帯がくすんだ灰黄色かほとんど黄色味を欠く淡褐色となることなどで,L.javanicaの既知亜種と容易に区別される.なお,亜種acaerulea Holloway,1976として知られるボルネオの個体群については,より古いDermaleipa javanica defasciata Gaede,1917の名称が有効なことが分かったので,学名を変更した.
- 日本鱗翅学会の論文
- 2004-03-20
著者
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