小学校家庭科におけるコミュニケーションスキルを育成するための授業実践(第2報) : 授業評価

概要

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衣食住にかかわる体験を取り入れながら,個人が直接人と関係を持ったり,人との関係を考えたりすることのできる授業を実践し,授業終了後のアンケート並びに授業中使用したワークシートなどを中心に授業評価を行った。結果は以下の通りである。(1)授業後,友だちと仲良くするために工夫している児童の数が増えた。(2)ロールプレイングを取り入れたことで,他者の感情や状況に気付くようになった。さらに,半数以上の児童は,相手への気遣いを言葉で表現すべきだと考えるようになった。ただし,他者とのかかわり方に気づかない児童には,他の児童のかかわり方の例を示すことにより,かかわり方を考えさせることが必要である。(3)フォトフレーム製作は,児童にとって興味・関心の高い教材であるが,どの児童にも満足のいくフォトフレームを製作させるためには,製作時間の検討や手厚い助言が必要である。また,製作したものをプレゼントすることを通して,他者に感謝の気持ちを伝えるために工夫しようとする児童が見られた。(4)会食のために,調理や催し物や招待状を工夫することで,もてなす人や周りの友だちが楽しんでもらえるようなかかわり方を考えることができた。(5)段階的に人とのかかわり方を学習することで,積極的にかかわろうという意識が高まり,行動にも移せるようになった。以上から,衣食住にかかわる体験を取り入れながら,個人が直接人と関係を持ったり,人との関係を考えたりすることのできる今回の授業実践は有効であったといえる。特に,友だちとの人間関係に不器用さを示すといわれている今の子どもたちの現状を考えると,この授業を通して,友だちと仲良くするために工夫するようになったということの意義は大きい。また,家族や近隣の人々など他者とコミュニケーションをするためには,言葉は重要な役割を果たし,家庭科においても言葉を重視した体験を充実させることが現在望まれているだけに,ロールプレイングは,言葉を通した人間関係を学ばせるためには有効な手段であり,人との関係に気づかせるよいきっかけになったと思われる。さらに,言葉では表現できない子どもでも,相手のためにフォトフレームを作ったり,会食の準備をしたり,催し物を考えたりする活動を通して,相手に対する気遣いや感謝の気持ちを自然な形で表すことができたと思われる。家庭生活で行われる衣食住にかかわる活動の中にこそ,家族関係や人間関係を考えさせる機会は豊富にある。家庭や地域で人間関係について教えることが難しくなっている現在,ますます衣食住とかかわらせながら,人との関係を学ぶ授業実践は求められるであろう。
2009-07-01

小学校家庭科におけるコミュニケーションスキルを育成するための授業実践(第2報) : 授業評価

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