小学校家庭科におけるコミュニケーションスキルを育成するための授業実践(第1報) : 授業構成
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概要
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衣食住にかかわる体験を取り入れながら,また,児童の人間関係に関する現状を踏まえて,個人が直接人と関係を持ったり,人との関係を考えたりすることのできる授業の開発を目的に,小学校家庭科の「家庭生活と家族」の内容の授業構成を試みた。授業は以下の方針に基づいて構成した。(1)言葉を用いた他者とのかかわりを考えさせるため,ロールプレイングを取り入れる。(2)フォトフレームの製作を通して,他者との関係をよりよくするための工夫をする活動を取り入れる。(3)もてなす人や周りの友だちが楽しんでもらえるようなかかわり方の工夫を考えさせ,積極的に人間関係を築く場として会食を取り入れる。これらの方針をもとに,計8時間の授業を設計し,実践した。授業案に取り入れた学習内容については,予定の時間内で実践することができた。なお,この授業評価については,2報で報告する。最後に,地域や家庭の教育力が低下している現在,人との関係,例えば協力,ふれ合い,思いやりなどについて,学校で学ぶことはとても重要なことである。そして,家庭科においても,その一端を担わなければならない。特に,家庭科は衣食住とかかわらせることで,より自然な形で人との関係を学ぶことができる。今までも,こうした取り組みはあったが,より人との関係に着目しながら,授業を構成したならば,道徳の授業に勝るとも劣らない学びができると考える。衣食住にかかわる体験を通して,人間関係を実感を持って学べることができたなら,「人間関係に気付いたり,うまく対処したりする力」を身につけ,実生活や将来の生活へとつなげていくことが期待できると思う。今後とも,人との関係を学ぶより効果的な授業実践を検討していきたい。
- 2009-04-01
著者
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