幼児期の感情表現および意識的な身体表現による母子間のコミュニケーション
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概要
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子どもの感情表現や得意なポーズや変身遊びのような意識的な身体表現を、母親がどのように読み取り、理解しているのか、ラバン理論の動きの視点により分析し、特徴を明らかにした。また子どもの感情表現への母親の対応傾向も併せて分析した。アンケート調査は1〜2歳の子どもをもつ母親54名に実施し、自由記述の内容を身体部位、動作、ダイナミクス、空間性、関係、言葉、表現しない、以上7カテゴリーに分類し、特徴を検討した。その結果、母親は子どもの怒り、嬉しい、悲しい感情表現を身体部位や動作、ダイナミクスの3つのカテゴリーで70%以上記述していたのに対し、怖い、甘えたい感情表現は母親への関係と言葉の2つのカテゴリーの記述が40%以上と多かった。具体的な動作として、嬉しい時にはジャンプや回旋動作が特徴的であり、怒り、怖い、悲しいときの感情表現では「泣く」動作が主である。母親は泣き方の差を身体部位やダイナミクスから理解していた。一方、母親の対応は嬉しい時には同じ動作で対応する割合が56%と高く、子どもと一緒に同じ動作をして、喜びを共感し、子どもと思わず共振していることが示された。それ以外の感情表現に対しては、関係や言葉での対応で40%以上を占め、子どもを抱きしめ、言葉で感情を落ち着かせる対応であった。得意なポーズでは身体部位が56%を占め、多くは子ども独自のものではなく、社会的に認識されているサインであった。変身遊びでは動作の記述が75%を占め、身近な動物や家族のしぐさ、TVヒーローの動きを模倣した身体表現であった。これらは、母親と子どもが一緒に見ているもので、母親が子どもの身体表現を簡単に理解し、共有できると考えられる。一方、一人ひとりの子どもが感じたまま表した創造的な身体表現については記述が少なく、子ども自身の独創的な身体表現については理解せず、見落としているのではないかと推測された。
- 2010-03-05
著者
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