1963年の日本鱗翅学会ヒマラヤ蝶蛾調査隊によつて採集されたクワガタムシ科
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概要
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1963年の日本鱗翅学会ヒマラヤ蝶蛾調査に際し隊員諸氏によつて採集された甲虫類の中,クワガタムシ科に属する12種を報告し,その中の若干の種類について考察した。この中,Lucanus gracilis ALBERSは,海抜3,000〜5,000mの高所に限つて産する,ミヤマクワガタ属(Lucanus)の中では雄も雌に酷似した極めて原始的な形態を有する特異な種類で,従来の採集例も極めて少なく,欧米の博物館の所蔵数も僅少である。今回の調査では幸にも,夜間採集の燈火にかなりの数が飛来したので,充分な研究をすることが出来たが,この種類は上記の特徴の外にも,近似の3種と共に,前脛節の構造其他の点て,他のミヤマクワガタ属の種類からははつきり区別し得るので,ここで一新亜属Eolucanusを設けて真のミヤマクワガタ属(Lucanus)から区別することにした。この群の種類は南米アンデス山系に産するChiasognathus,Sphenognathusなどの諸属に近似の特徴を有し,旧世界に産するクワガタムシ科中では最も起源の古い遺存的な形態を有する群と考えられる。また従来Dorcus tityus HOPE,1842の名のもとに知られている種類は,本種の雌で記載されたLucanus lineatopunctatus HOPE,1831が先行するので,これを採用し,Dorcus lineatopunctatusとした。
- 日本鱗翅学会の論文
- 1970-11-25
著者
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