下垂体疾患の臨床-合併症・治療成績そして今後の展開-(内分泌内科の症例を中心として)

概要

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内科学(第二)講座は鎮目和夫現名誉教授が就任(1972年)されてから内分泌内科を担当する講座(1978年)として発展してきた。全国から受診される内分泌疾患患者さんから問題を見つけ多くの臨床研究が行われている。最終講義ではその研究の一端として「下垂体疾患の臨床」を紹介する。, ここ10年間に入院した視床下部-下垂体腫瘍患者は1,008例である。ホルモン産生腫瘍としては成長ホルモン(GH)産生腫瘍が182例と一番多く、プロラクチン(PRL)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生腫瘍がそれぞれ146、69、11例である。視床下部-下垂体腫瘍治療の原則は、大きい腫瘍はまず手術で取り除き、残存腫瘍に対して内科的あるいは放射線治療を行う。現在内科的治療法に使用される薬剤も開発が進み、10年前に比し良好な薬剤が使用出来るようになった。GH産生腫瘍ではソマトスタチンアナログやGHレセプター拮抗薬により治癒率が90%に近付いている。PRL産生腫瘍にはドパミン作動薬のカベルゴリンが登場し、手術に代わってこの薬剤が治療の第一選択肢となっている。この薬剤を上手に使用すれば腫瘍は縮小し完全治癒も望める時代となっている。ACTH産生腫瘍には現在主流となる内科的薬剤がないが、現在開発されている薬剤の効果が期待されている。, 視床下部-下垂体腫瘍では腫瘍の圧迫により下垂体ホルモン分泌障害が起こり下垂体機能低下症を合併することが多い。治療として不足するホルモンの補充療法を行うが、今まで補充療法が行われていなかったGHについて補充の重要性が明らかとなっている。GHは成人においては蛋白・糖・脂質はじめ水・電解質代謝および免疫に関して重要な働きをすることが報告され、我が国でもその補充療法が開始されている。, 下垂体疾患も早期に治療を開始すれば良好な結果が得られるので早期発見、早期治療を啓蒙することが大切である。
2010-05-25

下垂体疾患の臨床-合併症・治療成績そして今後の展開-(内分泌内科の症例を中心として)

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