言葉の創発性
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概要
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話し手が聞き手に発話をする、このような言語行為は話し手が持つ心的な態度を聞き手に伝えるための手段として基本的には理解される。ここで、「基本的」と断ったような表現になっているのは話し手が心的な態度を伝えているのが必ずしも、発話の場面ではないからである。心的態度を相手に伝え、聞き手は理解する。このような相互の言語行為と深く関係付けられているのは脳科学とその隣接分野との知見を取り入れた言語学、取り分け、認知言語学である。人間の認知機構を解明することへの貢献は今後も期待されているところである。話し手の発話という行為は無限の解釈可能性を含むものである。「心的な態度」は所謂、モダリティのことだけを言っているのではなく、聞き手に理解して欲しいと望む話し手の心の態度のことにも言及する。聞き手は話し手が発話をした内容を文脈という、「環境」に依存することで、理解をする。聞き手のこのような理解はその後の談話構築にとっても重要な役割を果たすことになるのは自然な語用論上のプロセスである。「環境」が言語体系に及ぼす影響は絶大である。そして、「環境」と言っても様々な状況が考えられる。それらのうちの一つには言語接触による言語体系の変化がある。例えば、10世紀前後のブリテン島における言語の多層構造には目を見張る部分がかなり多くある。これはほんの一部分にしか過ぎない例ではあるが目まぐるしく変化する言語体系から新しい言葉が半永久的に創発される。言葉の創発性は話し手と聞き手との間で展開される環境との相互作用を繰り返し、談話が構築される中に見出される。さらに、見落としてはならにことは、言葉の創発性と民族・文化がいかに深く関わり合っているかについての洞察である。
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